カスタマイズ可能な「学びばこ」だから実現できた
学習状況の可視化やインクルーシブデザイン

独立行政法人国立特別支援教育総合研究所 様 導入事例

2004年から動画配信システムをオンプレミスで運用し、インターネットによる講義配信事業を展開する独立行政法人国立特別支援教育総合研究所(以下、NISE)。2016年度からは免許法認定通信教育事業をスタート。受講者数の急増により、配信システムの処理能力の限界が見えてきた。システム更新のタイミングが近づいていたこともあり、配信システムの全面刷新を決断。仕様策定委員会を構成し臨んだ競争入札の結果、2019年7月に「学びばこ」の導入を決定した。2020年度から新しい特別支援教育eラーニング「NISE学びラボ」を運用している。

導入法人プロフィール

法人名:独立行政法人国立特別支援教育総合研究所(NISE)

設立:1971年(昭和46年)

所在地:神奈川県横須賀市野比5丁目1番1号

役員・職員数:76名(役員2名、研究職38名、一般職36名、令和6年4月1日現在)

事業内容:特別支援教育に関する実際的かつ総合的な研究促進と成果の普及、特別支援教育関係職員に対する専門的・技術的な研修の提供、特別支援教育に関する図書/資料/情報の収集・整理・保存・提供、特別支援教育に関する相談への対応(助言・指導・援助など)

 

導入の背景
登録ユーザ数やコンテンツ数の増加で既存の動画配信システムの処理能力が逼迫。

導入の決め手
“やりたいこと”を仕様書にまとめ入札を実施、総合評価で「学びばこ」の導入を決定。

導入後の効果
システム移行後ハイペースで利用者が増加するなか細かなアップデートを継続。

導入の背景
登録ユーザ数やコンテンツ数の増加で既存の動画配信システムの処理能力が逼迫

障害のある子供の教育に関する研究、研修・支援、情報普及などを行うNISEでは、2004年度から全国の特別支援教育センターや学校の教職員を対象にインターネットでの講義配信事業をおこなっているが、その道のりは試行錯誤の連続であった。当初、集合研修で実施していた専門研修の導入部を録画し、各都道府県の教育センターに動画を配信する計画であったが、配信途中で固まってしまうなどトラブルが頻発し、急遽並行して録画データを収めたメディアを郵送することで対応した。その後コンテンツを充実させつつ動画の尺を半分以下に短くするなど工夫を重ね、なんとかインターネット配信ができるようになった。「アンケートなどで各センターや受講者の声を聞いて、研修で使ってもらえるようなコンテンツを作るために、研究所内に簡易スタジオを設けて収録するなど、少しずつ改良をしていきました」と当時の苦労を語るのは、NISE客員研究員の澤田真弓氏だ。

こうしたなか、国の政策で2016年度から新たに免許法認定通信教育のeラーニングを開始することになったが、既存の講義配信に免許法認定通信教育が加わり、登録ユーザ数やコンテンツ数が増えたことで、オンプレミスの動画配信システムの処理能力(同時接続数)が逼迫する事態に直面する。ちょうどシステム更改のタイミングを迎えていたことも踏まえ、処理能力の向上や機能強化に向けて全面刷新することを決断した。

導入の決め手
“やりたいこと”を仕様書にまとめ入札を実施、総合評価で「学びばこ」の導入を決定

早速、研究所内に仕様策定委員会を立ち上げたNISE。

目指す理想のeラーニング事業に向けて“実装したい機能”を洗い出す作業に着手した。最も重視したのが学習状況を記録し活用するための、都道府県の教育委員会や教育センターによる学習管理機能の拡充だ。総務部 研修情報課長の齋藤光男氏は次のように語る。

「NISEとしては、eラーニング事業に関する具体的な成果を国に報告する義務があり、そのためには学習の詳細なデータや視聴ログ(アナリティクス)の取得が欠かせません。一方、実際に対象者を選考し受講させる役割を担うのは、各都道府県の教育センターです。受講者の登録、学習状況把握と促進、研修メニューの作成などの権限を各センターに委ねることで、自治体ごとのニーズや状況に合わせた独自の取り組みを支援しつつ、NISEはそれをリアルタイムで可視化して全体を把握する、独自の学習管理の仕組みを用意しようと考えました」

このほか、自己の学習状況を確認でき学習意欲向上に効果的なマイページや、受講後の理解度をチェックできる確認テストなどの機能に加え、視覚や聴覚に障がいがある方の視聴を想定したアクセシビリティ、処理能力アップによる同時接続数の拡大などの要件を仕様書に盛り込み、新しいeラーニングシステムについて競争入札を実施。3社の提案のなかから総合評価で選ばれたのがテクノカルチャーの「学びばこ」であった。

 2019年7月に契約締結後、同年末までの約5ヶ月間、テクノカルチャーのエンジニアと週次ペースで対面打ち合わせを重ね、仕様書にはなかった細かな部分についても詰めていった。

こうしたプロセスについて、仕様策定委員会の委員長を努めていた澤田氏は

「打ち合わせの場でここをこういうふうにして欲しい…と要望を出すと、もう次の打ち合わせの時には反映されたモックを確認することができました。これまで教育センターの担当や受講者から寄せられていた旧システムに関する様々な要望をできるだけ反映し、より良いものにしたいという熱い想いを受け止めて、対応いただいたと感謝しています」

導入効果
システム移行後ハイペースで利用者が増加するなか細かなアップデートを継続

2020年に入り、コンテンツの移行や各種テストなど準備期間を経て、同年4月1日より新しい特別支援教育eラーニング「NISE学びラボ」をスタート。

その後、免許法認定通信教育のeラーニングについても新システムへの移行を進め、ちょうど1年後となる2021年4月1日から運用を開始している。その際、旧システムに登録したものの利用実績がないユーザも多かったため、システム刷新に伴い、登録者を改めて募っている。新システムの評判は上々で、旧システムの登録者数を上回り、これまでにないハイペースで増え続けている。

2024年4月30日時点で、NISE学びラボは個人利用が18,788名、団体利用が1,116団体、更に団体利用の研修管理者が登録した受講者数を含めると全体で33,363名に利用頂いている。また免許法認定通信教育の申込者は4,596名に達する。運用開始からすでに4年以上が経過しているが、処理能力向上を果たしたことにより、コロナ禍で利用者が急増した期間を含めトラブルフリーで経過している。

 

「現在、コンテンツ数はNISE学びラボが174、免許法認定通信教育が60に上りますが、講義の内容について、学習指導要領の改訂などがあった場合は、講義内容を更新し、常に最新の情報が視聴できるように運用しています。受講者からは映像の品質が高く内容も分かりやすいと好評です。新システムについても、再生速度調整もできて使いやすい、パソコンだけでなくタブレットやスマートフォンを用いて場所を選ばず学習できる、パワーポイントの図や講師の説明などがテキストで表示されアクセシビリティに優れる、などの声が寄せられています(澤田氏)」

なお、運用開始後も保守サポートの一環として月に1回のペースでメンテナンスを実施しており、新システムを利用するなかで出てきた簡単な機能追加や細かな仕様変更などの要望に対応し、継続的にアップデートを続けている。このほか、国の政策を踏まえて、2024年4月から「NISE学びラボ」の174コンテンツのうち97コンテンツについて、確認テストの機能を追加し、学習効果を確認するための仕組みを新たに整えた。

今後期待すること
コンテンツを有効活用して次のステージに進みつつ、AI活用にもチャレンジしたい

新システム移行によって、“やりたかったeラーニング”の実現を果たしたNISE。

今後は、「NISE学びラボ」全コンテンツへの確認テスト搭載のほか、全国教職員研修プラットフォームを提供する独立行政法人教職員支援機構との連携や、都道府県の教育センター向け研修パッケージの開発など、次のステージに向けて取り組みを進める計画だ。また、新システムは現状オンプレミスで運用しているが、可用性の向上や運用の効率化に向けてクラウド環境への移行も検討している。

「最近話題のAIにも注目しており、自動音声読み上げソフトを導入してコンテンツ制作を効率化したり、将来的には、ユーザのレベルに合わせた最適なコンテンツをAIがレコメンドしたり、なにか有効活用できないか検討中です。この辺りについても是非テクノカルチャーさんに支援いただきたいと思います(澤田氏)」

 

独立行政法人国立特別支援教育総合研究所の皆様

(写真左から)

上席総括研究員 兼 研修事業部長 吉川知夫氏

総務部 研修情報課長 齋藤光男氏

客員研究員 澤田真弓氏

研修事業部 総括研究員 武富博文氏

総務部 研修情報課 資質向上支援係 係員 関谷紗加氏

※役職は取材当時のものです。

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